後遺症が残った時に受けられる補償はある?被害者は何をするべき?

2020/02/04

後遺症への損害賠償とは?

後遺障害認定を受ける方法は?

後遺障害慰謝料や逸失利益の金額は?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

一生懸命治療したけれども、後遺症が残ってしまった…。これほど不安なことはないでしょう。適正に損害賠償を受けとるための基本情報をお伝えしていきます。

後遺症に対する損害賠償はある?

交通事故の怪我が完治した場合と、何らかの後遺症が残った場合では、損害賠償金は変わりますか。

後遺症が残った場合、後遺症に対する損害賠償を上乗せして受けとれる可能性があります。

入院・通院したときにもらえる慰謝料・治療費とは別に、後遺症に対する損害賠償も受けられる可能性があります。
具体的には「後遺傷害慰謝料」と「逸失利益」という損害賠償になります。

①後遺傷害慰謝料

後遺障害等級に応じて基準額(相場)があります。 入院・通院に関する慰謝料とは別に支払われます。

②逸失利益

後遺障害が残ったことによる減収への補償です。 減収と言っても、色々なケースが考えられます。

✓就ける仕事が限られてしまった
✓将来的に昇給が見込める仕事から異動させられた
✓働くことが困難になった

逸失利益は、事故前の被害者の給与・年齢などを用いて算定します。逸失利益の計算式は少し複雑です。示談を結ぶ前に、損害額が適正かを弁護士におたずねください。

後遺障害認定はなぜ大事?

後遺症が残れば、誰でも後遺障害慰謝料や逸失利益を受けとれるのでしょうか?

後遺症が「後遺障害」であると認定されれば、受けとることができます。

後遺症」と「後遺障害」は違います。 たとえば、「後遺症が残った」と診断するのは医師です。しかし「後遺障害である」と判断するのは、医師ではありません。 医師に「後遺症が残った」と言われるだけでは、損害賠償の受け取りにはつながらないのです。
交通事故の損害賠償で大事なことは、「後遺障害」に認定されることです。

ここからは、後遺障害として認定されるための流れをみていきましょう。

後遺障害認定を受けるためには

症状固定

症状固定とは、これ以上治療を続けても良くも悪くもならない状態を迎えることを言います。

症状固定の時点で、身体には治らなかった後遺症があります。その精神的・肉体的な後遺症を「後遺障害」に認定してもらうために、申請をおこないましょう。

後遺障害等級認定の申請

後遺障害等級認定の申請方法は2つあります。

<2つの申請方法>
事前認定
被害者請求

それぞれの大まかな流れを説明します。

申請方法①事前認定

まずは、主治医に「後遺障害診断書」の作成を依頼します。 これまでの診断書とは違い、身体のどこに、どんな症状が残っているのかを示すものです。

次に後遺障害診断書を、相手方の任意保険会社に送付します。 あとの必要書類は、相手の任意保険会社が用意します。そして、後遺障害の認定機関である「損害保険料率算出機構」への申請手続きを済ませてくれます。被害者の手間は最低限ですみます。

審査期間を経て、相手の任意保険会社から後遺障害等級認定の結果通知が届きます。 後遺障害に認定されるということは、「後遺障害等級」が決まることになりますので、何級に認定されたのかは通知書で確認してください。

申請方法②被害者請求

まずは、主治医に「後遺障害診断書」の作成を依頼します。この部分は、事前認定と被害者請求で共通しています。

次に、相手方の任意保険会社には被害者請求を行うことを伝えてください。 そして、「交通事故証明書」や「診断書」、「診療報酬明細書」の写しの送付を依頼しましょう。 被害者請求では、後遺障害診断書以外の申請に必要な書類をすべて被害者が収集する必要があるからです。

相手方の自賠責保険会社に連絡をして、被害者請求に必要な書類を手配しましょう。 後遺障害診断書・提出すべき資料などがすべてそろったら、相手方の自賠責保険会社へ送付します。審査期間を経て、相手の自賠責保険会社から後遺障害等級認定の結果通知が届きます。 後遺障害に認定されたなら、「後遺障害等級」が決まることになりますので、何級に認定されたのかは通知書で確認してください。

後遺障害等級認定を受けるポイント

「後遺障害に認定されなかった」というご相談を受けることもあります。もし、認定の申請を受けられない(非該当)となった場合、異議申立ても可能です。
しかし、初回審査の結果を覆すことは難しいともいわれていますので、最初の申請は極めて重要です。 ここで交通事故での後遺障害等級認定を受けるためのポイントの一部を解説します。 もっとくわしく弁護士に聞いてみたい方は、お気軽にお問い合わせください。

ポイント①後遺障害等級を知る

後遺障害等級とは、1級~14級までの14段階に分かれています。 肉体的・精神的な症状の程度、部位によって細かく規定されているので、まずはあなたの後遺症が当てはまる等級はあるかを調べておきましょう。

ポイント②証拠を示す

とくに、症状が自覚症状であるほど注意が必要です。

たとえば、「腕がしびれている」「視力が下がった」「耳鳴りがする」などは、被害者の自覚症状になります。言ってしまえば、「本当にそのような症状があるのか」は本人にしか分かりません。 後遺障害等級認定の審査では書面審査が原則です。書面で自覚症状を伝えるために必要なのが、検査結果です。

たとえば、耳鳴りにかかる検査だったら「ピッチ・マッチ検査」と「ラウドネス・バランス検査」…、このように認定を受けるために必要な検査があります。交通事故の解決実績が豊富な弁護士に依頼することで、必要な検査をしっかり行い、より説得力を持たせて後遺障害認定ができます。

ポイント③適切に通院する

後遺障害等級認定を受けるには、一生懸命治療したけれど後遺症が残ったことが前提です。

たとえば、事故から8ヶ月経って症状固定になったとしましょう。しかし、8ヶ月のうち実際に病院に通ったのは10日あまり…。これでは交通事故の後遺障害等級認定を受けるのは難しくなります。

弁護士に依頼をすれば、こういったお手伝いが可能です。
✓まずは治療に専念しやすい体制を整えて完治を目指す
✓計画的な通院に関してアドバイスをする

 

弁護士は後遺障害等級認定を受けるためのサポートもしてくれるんですね。

たとえば被害者請求で手間になる資料収集も弁護士が行えます。お手伝いできることはたくさんあるので、活用してください。

後遺障害慰謝料・逸失利益はいくらになる?

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて相場が決められています。しかし、相手方の保険会社が提示してくる金額には増額の余地があることがほとんどです。

相手方の保険会社が後遺障害慰謝料を算定する時には、自賠責保険の基準や任意保険基準(自社基準)などを用います。 一方、被害者から依頼を受けた弁護士は弁護士基準で後遺障害慰謝料を算定して交渉をおこないます。

以下の表をみれば、後遺障害慰謝料が算定基準によって大きく変わることが分かります。

▼後遺障害慰謝料の相場/慰謝料の単位は万円

等級弁護士基準任意保険基準*自賠責基準
1280013001100
223701120958
31990950829
41670800712
51400700599
61180600498
71000500409
8830400324
9690300245
10550200187
11420150135
1229010093
131806057
141104032

※旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定

後遺障害等級によっては、弁護士基準で算定すると3倍以上も高額になることがあります。相手の保険会社からの提案額をうのみにしては、損をする可能性があります。

逸失利益の計算方法

後遺障害の影響で仕事を変えなくてはならず、収入が減ったらどうなるのですか?

「逸失利益」を受けることができます。事故前の給与など、被害者特有の情報を使って計算するので、慰謝料とは違い相場はありません。

逸失利益は次のような計算式で求めます。


逸失利益の計算式
基礎収入 ✖ 労働能力喪失率 ✖ 就労可能年数に対するライプニッツ係数


逸失利益を計算するには、次のような被害者の情報が必要です。
基礎収入:交通事故にあう前の被害者の年収
労働能力喪失率:後遺障害等級
就労可能年数:67歳ー(症状固定時の被害者の年齢)

基礎収入

サラリーマンなど給与を受けている人は、源泉徴収票を用いることが有効です。
自営業の場合は、前年度の確定申告内容を使うと良いでしょう。
また、主婦・学生なども、全国の統計結果を用いて算定可能です。ぜひ、弁護士にお問い合わせください。

労働能力喪失率

まずは、労働能力喪失率の求め方です。労働喪失率は、後遺障害等級ごとに次のように決められています。

▼後遺障害等級と労働能力喪失率

等級労働能力喪失率
1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

就労可能年数のライプニッツ係数

就労可能年数とは、症状固定時の年齢から67歳までの差を言います。今は、67歳が就労可能年齢の上限と考えられているからです。たとえば、47歳で症状固定となったら20年です。
この「20年」にあたるライプニッツ係数を計算に使います。 ちなみに、ライプニッツ係数は2020年4月以降で変わりますので、交通事故が発生した日時で使い分けてください。

以下は就労可能年数にあたるライプニッツ係数を抜粋しています。

▼就労可能年数とライプニッツ係数

就労可能年数2020年4月以降2020年3月まで
1年0.970.95
5年4.584.33
10年8.537.72
20年14.8812.46
30年19.6015.37

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

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