2020/03/13
大学生が交通事故にあったら?慰謝料や学費への補償も解説
2020/03/10
高齢者の慰謝料は若者より低い?
高齢者の慰謝料はどうやって決まる?
高齢者でも逸失利益は認められる?
このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?
この記事では、高齢者が交通事故の被害者となってしまった場合の慰謝料の考え方について解説しています。もし、「高齢者だから」という年齢だけを理由に、慰謝料を低く提示されている方は、絶対にあきらめずに、弁護士とともに適正金額を請求すべきです。
目次
交通事故によって怪我をしたことへの慰謝料は、入通院慰謝料(傷害慰謝料)と呼ばれています。 高齢者であることを理由に減額されたり、増額されることはありません。
入通院慰謝料は、怪我や通院治療で辛い思いをした「精神的苦痛」に対して支払われます。具体的には「苦痛にさらされた期間の長さ」で金額を決定していきます。
慰謝料の金額は、相手方の保険会社によって示談時に提案されることが多いでしょう。 相手方は、保険会社の基準にそって計算しています。保険会社の基準は、①自賠責保険の基準や②任意保険の基準と呼ばれています。
一方で、これまでの裁判例が元になっている基準を③裁判基準(弁護士基準)といいます。裁判はもちろん、被害者から依頼を受けた弁護士が交渉する時に用いる基準です。 合計で3つの基準がありますが、裁判基準(弁護士基準)で算定することで、最も高額な慰謝料を得られる可能性が極めて高いです。
示談ではなく、裁判をすれば増額が見込めるということでしょうか。
はい。ですが裁判には費用もかかりますし、解決までの期間が長く、被害者の負担も非常に大きくなります。
そうなんですね。低い金額で泣き寝入りするしかないのでしょうか…。
いえいえ。示談交渉を弁護士に任せれば、裁判を起こさなくても、裁判基準(弁護士基準)で交渉可能です。
慰謝料を増額させるには、示談交渉を弁護士に任せることが大きなポイントになります。
京都府警察の発表している「京都府内における高齢者事故の特徴」によると、次のようなことがわかっています。
・平成30年中に京都府内で起こった全ての交通事故は6142件
・6142件のうち、高齢者(65歳以上)が関連する事故は2120件
また、同年、京都府の交通死亡事故では52名が命を落とされました。
そのうちの約38%にあたる20人が、高齢者(65歳以上)ということです。
交通事故の発生件数、死亡事故で命を落とす方の人数は前年と比べて少ないですが、高齢者の交通事故を減らすことが課題と言えます。
次の事例で、入通院慰謝料をシミュレーションしてみましょう。
▼骨折
▼入院:なし
▼通院期間:6ヶ月(180日)
▼実際の通院日数:100日
1日あたり4200円の通院慰謝料が認められます。 計算式は2つありますが、金額の少ない方が採用されます。
①[入院日数 + 通院期間]× 4,200円
②[入院日数 + (実通院日数 × 2)]× 4,200円
①180(日)✖4,200円=75万6,000円
②100(日)✖2✖4,200円=84万円
②>①となるため、採点結果は①を採用します。 自賠責保険の通院慰謝料は75万6,000円です。
原則は非公開とされています。 かつてはすべての保険会社が共通の基準で慰謝料を算定していましたが、現在では各保険会社に設定がゆだねられているのです。
もっとも、弁護士基準の金額には到底及びません。自賠責保険の基準を少し上回る程度と考えてください。
弁護士基準での慰謝料は、原則「通院期間」を重視します。 そこで下表のような入院期間・通院期間にもとづく算定表を使うのです。
表によると、通院期間6ヶ月は116万円となります。
それでは、3基準の慰謝料を比較してみましょう。
▼表:通院慰謝料|6ヶ月通院のケース
自賠責保険の基準 | 任意保険の基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
75万6,000円 | 保険会社による | 116万円 |
このとおり、弁護士に依頼をすると約40万円の増額が可能です。
より納得のいく金額で示談をするためには、相手方からの提案金額をうのみにせず、弁護士に相談をして弁護士基準での増額見込みを聞いてみることが大切です。
ただし、通院期間に対して実際に治療通院した日数が極端に少ないと、慰謝料が減額されるリスクが高まります。
たしかに、6ヶ月の間に100日通院治療に励んだ人と、5日しか通院していない人では、慰謝料は変わって当然かもしれません。
通院期間が少ない・頻度が適切でないということは、実際には大した怪我ではないのでは、という疑いを招く恐れがあります。通院頻度に不安がある方は、お早めに弁護士にご相談下さい。
交通事故による後遺障害等級が認定された場合、入通院慰謝料とは別に、損害賠償請求が可能です。後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じて一定の基準が決められています。
年齢を理由とした増減はありませんので、高齢者でもこの基準に基づいた請求が可能です。
▼表:後遺障害慰謝料の3基準(単位:万円)
※ 旧任意保険支払基準の金額です。現在は保険各社が独自に設定しており非公開とされています。
等級 | 弁護士基準 | 任意保険の基準 | 自賠責基準 |
1 | 2800 | 1300 | 1100 |
2 | 2370 | 1120 | 958 |
3 | 1990 | 950 | 829 |
4 | 1670 | 800 | 712 |
5 | 1400 | 700 | 599 |
6 | 1180 | 600 | 498 |
7 | 1000 | 500 | 409 |
8 | 830 | 400 | 324 |
9 | 690 | 300 | 245 |
10 | 550 | 200 | 187 |
11 | 420 | 150 | 135 |
12 | 290 | 100 | 93 |
13 | 180 | 60 | 57 |
14 | 110 | 40 | 32 |
表のように、同じ等級でも後遺障害慰謝料の金額は算定基準で全く異なります。
後遺障害のために収入減ってしまったのですが、そのことの補償も含まれているのですか?
いえ、含まれていません。別途「逸失利益」という損害賠償項目として請求をしていきましょう。
高齢者の方も、逸失利益を受けとることは可能です。 逸失利益は、後遺障害によって労働能力が失われたことで生じた減収を補償するものです。 次の計算式で求めることになります。
<逸失利益の計算式>
基礎収入 ✖ 労働能力喪失率 ✖ 就労可能年数に対するライプニッツ係数
「基礎収入」というのは、事故当時に働いていた方の給与所得だけではありません。
・家事労働を担っていた
・仕事探しをしており、働く予定があった
このような場合は、国の統計結果(賃金センサス)をつかって基礎収入を算定することができます。
しかし、相手方の保険会社が親切に提案してくれることはありません。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士に見積もりを依頼してみることをオススメします。
年金は収入には含まれません。 なぜなら、交通事故の後遺障害を理由として減額されるものではないからです。
年金のみ受給している方については、基礎収入として主張できるものがないか、弁護士に見解をたずねてみるとよいでしょう。
死亡慰謝料も、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料と同様に、高齢者であることを理由に減額されることはありません。
弁護士に依頼すると、被害者一人ひとりにあった相場での交渉が可能です。 弁護士基準で算定する死亡慰謝料の相場は次の通りです。
▼表:被害者の立場と死亡慰謝料(弁護士基準)/慰謝料単位は万円
被害者の立場 | 死亡慰謝料 |
---|---|
一家の支柱 | 2800 |
母親・配偶者 | 2500 |
独身・子ども | 2250 |
相手方からの提案金額は、高齢者であることを理由に不当に減額されていたり、そもそも金額がとても低い可能性が十分あります。 示談を結ぶ前に、弁護士にご相談下さい。一度示談を結んだら、その内容を変更することは極めて難しいのです。
死亡事故に関する損害賠償は、関連記事でも詳しく解説しております。
▼関連記事:死亡事故の損害賠償請求|だれが・いつ・相場は?気になる疑問5選
交通事故の損害賠償は、保険会社が主導して算定している限り、適正金額を提示されることはまずありません。
相手からの提案内容に対して、裁判基準(弁護士基準)での再計算を交渉することで、増額交渉をしていく必要があります。
とくに、過失割合には要注意です。
過失割合とは、事故当時者が事故に対してどれくらい責任があるかを表したものです。
たとえば被害者に2割の過失が認められたら、損害賠償は8割しか認められません。
損害賠償金額に直結するからこそ、相手方ともめやすいのです。
事故の様態によっては、高齢者であることを理由として過失割合が減らせる可能性があります。
過失割合の交渉も、弁護士にお任せいただくことが有効です。
交通事故は突発的に起こるものです。そんな急な出来事にも柔軟に対応できるように、アトム法律事務所では無料相談の予約窓口を年中無休で設置しています。 専任のオペレーターにつながりますので、まずはお話をお聞かせください。
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